エルエルロック

All Rights Of This Site Reserved. ©2001-2005LL69
地の塩
ほぼ毎日更新の「日記」。
微小潮流
少し長文のアーカイブ集。
総合案内
エルエルロックと作者のこと。

微小潮流

Digital Infrared Photo「ここにしかあり得ない世界観」

2012年10月更新について

ほとんど更新しなくなったここのサイトですが、アクセスログを見ると、時折赤外写真関連での訪問を確認できます。

ですが、この内容を書いたのが相当古い(2005年辺りかな?)ので、内容が古くなっています。

せっかく訪問いただいている方々に申し訳ない。

というわけで、久々に更新を致します。更新部分は「追記」と書いてあります。

Digital Infrared Photoとは何か

「Digital Infrared Photo」はデジカメで赤外写真を撮影する、ということです。

赤外線は可視光線域の末端約700nm以上から400μmくらいまでの範囲に存在する電磁波です。学術的な意味合いでは、例えばある画家の作品を赤外写真で撮ると、下に書かれた別の絵が現れる、とか、消えかかった木に墨で書かれた文字を判読する、と言った場合によく使われます。いわば、通常の可視光線では見えない部分を見ることが出来る、というわけです。

銀塩での赤外撮影

当然デジカメ以前は銀塩フィルムによる撮影でした。フィルムを赤外線にも感光するように作り、それを使って撮影するのです。カメラは通常のカメラ(多くは一眼レフ)をもっぱら使うのですが、撮影時にはレンズの焦点を「赤外線用」にあわせなくてはいけません。可視光線と赤外線とでは波長が違うので、ピントも変わってくるのです。多くのレンズ(一眼レフ用)には「R」マーク、もしくは「▲」マークが付いています。それが赤外線撮影時のピントに位置になります。

また、可視光と違って(当然)カメラに入る光量も全く違います。ですので、シャッタースピードも露出も実質「勘」頼りになります。ですから、オートによる撮影でなく、マニュアルでの撮影となります。(絞り=F5.6、シャッタースピード=1/60秒・晴天下 コニカ赤外による基準値)

またフィルムの扱いも特殊です。

現在日本で入手できる銀塩赤外用フィルムは「コニカ赤外750」か「コダックHIE(HighSpeedInfrared)」の2種類になります。コニカの方は、まだ扱いが緩やかですが、コダックの場合は絶対暗室内が条件です(感光してしまうからです)。コニカの場合は、通常の白黒フィルムの扱いと同等でOKです。しかしながら、消費期限が1年(毎年2月に生産)。

--2012年10月追記--

「コニカ赤外750」「コダックHIE」はとっくに廃版になりました。現在(2012年10月)販売されているものは、「ローライ(Rollei)」「エフケ(efke)」の2社のものは発見できました。

--追記ここまで--

デジカメでの赤外撮影の優位点

デジカメのフィルムにあたる「CCD」は、光には無条件に反応します。可視光線・不可視光線共にです。当然「赤外線」にも普通に反応します。なので、レンズに「IRフィルタ(シャープカットフィルタとも言う。特定の光線をカットする効果を持つ)」を付けたり、CCDそのものにかぶせたりすれば、銀塩時代の「赤外写真」が理論上では簡単に撮影できるのです。

ピントに神経を使う必要もありません。なぜなら、CCDは(フィルタをつけて可視光を遮断すれば)、入ってくる光に応じてピントを合わせます。赤外線しか入ってこなければ当然赤外線にピントを合わせます。従ってオートフォーカスもOKなんです。

ねっ、簡単でしょ。

--※2012年10月追記--

簡単でしょ、ではない(笑)。間違っているわけではないのですが、説明不足ですねぇ。

赤外写真をデジカメで撮る時に、有効なオートフォーカス方式は「コントラストAF(オートフォーカス)」方式になります。撮影対象のコントラストを感知してピントを合わせる方法です。これならば、赤外線であってもピントはあいます。

一方、「位相差AF(オートフォーカス)」ではピントあわせはキツイと思います。位相差AFとはレンズから入った光を2つに分けて専用のセンサーへ導き、結像した2つの画像の間隔からピントの方向と量を判断する方式です。赤外線は非常に弱い光線で、しかもそれをフィル越しに覘くわけです。CCDに届く線量は極めて低い。

大概のコンデジはコントラストAFと思われるので、「簡単でしょ」ということになります。

あと、「ライブビュー機能」のあるデジカメがいいと思います。と言っても大概のデジカメはあるはずですが、古いデジイチだと備わっていません。これがあれば、CCD(もしくはCMOS)が見ている状態をモニター越しに確認できるわけですから便利です。単にファインダ越しだと、フィルタは真っ黒なわけで、当然何も見えませんよね。

--追記ここまで--

ところが、メーカーはそんな状態を放置しておくわけがありません。少なくとも作画に影響がでます。絵そのものがぼやけたり(焦点距離が違う)、赤がやけに強かったりします。なので、デジカメにはあらかじめ「IRカットフィルタ」がCCDの前についています。それによって、CCDに取り入れる光線を可視光線のみとしているのです。

--※2012年10月追記--

あと、当然「透視」の問題もありますね。詳細は書きませんが、これは確かに問題です。

--追記ここまで--

天体撮影にも赤外写真が使われます。星雲特有の光線が赤外線の波長と被さるためで、その場合には「改造」をして、使うようです(IRカットフィルタを取り、別のガラスフィルタをつける。もしくはシャープカットフィルタをつける)。

しかし、そこまでしなくても、今まで発売されていたデジカメには「IRカットフィルタ」の効果が弱い製品がいくつか存在していて、それらを使うことで赤外写真が撮れるのです。

(追記)2012年時点でのデジカメによる赤外写真撮影環境(概略)

Dimage7はやはり赤外写真撮影には大変優れているカメラなのですが、電池持ちが異様に悪い、という欠点があり、実はとっくの昔に処分していました(2007年くらい)。

ただ、色々調べると代替となるカメラや方法は点在していて、「代用できるはず」というもくろみもあったのです。

1.改造済のデジカメを購入する → オークションなどでは普通に出品されています。出品の「本来」の目的はわかりません(笑)。楽チンですが、リスクもあります。「壊れたらそれまで」「ノーリスクノーリターン」「出品者を信用できるか」等々。

2.「赤外撮影が出来る」カメラを購入する → 探せばあります(ライカとかシグマかなぁ)。これは「IRカットフィルタを外せる機種がある」という意味です。

3.デジカメ新製品の型番が若いもしくはシリーズ最初の機種を狙う → 実はこれは結構言われてることです(ルミックスとかサイバーショットとか)。理由は定かではありませんが、シリーズ最初の機種はIRカットフィルタの効果が弱いものが多いとか。またシリーズを通して効果が弱い機種(リコーGR)もあります。

(追記)2012年時点でのデジカメによる赤外写真撮影環境(もしくはDimage7優位論)

上記で「Dimage7は処分済」としましたが、今年に入ってオークションで落札しまくり(笑)。ではここに至る過程を。

Dimage7処分後、代替のカメラを色々と試したことがありました。

まず買ったのが、実は当時平行して使っていたのですが同じMinoltaの「Dimage Z1」。当時「IRカットフィルタがついてないんじゃないか」とまで言われていたので期待したのですが、結果はDimage7よりも透過率が低い。速攻処分でした。

有名なのは、Nikonの「D50」。これはバッチリです。しかし難点が。「オートフォーカス」です。当然位相差AFなので、撮影するまで分からない。しかも、モノクロモードがない。結局D50での撮影は諦めました。

2010年にヤシカから「EZ Digital F537IR」が発売されました。これがなんと、IRカットフィルタが外せる機種だったのです。いわゆるナイトモードですね。確かに使ってみると、ナイトモード名称ながら当然日中も撮影できます。IRカットフィルタそのものを外すので、シャッタースピードとの格闘もありません。ですが、1点とてつもない難点が。「オートフォーカスがダメダメ」。ピントが合わない。「ナイトモードだから?」とも思ったのですが、通常の撮影でもピンボケ(笑。速攻ごみ箱行きでした。

携帯電話やiPhone等スマートフォンのCCD(CMOS)も赤外線はバッチリなんです。よくある「リモコン検査」もOK。では、ちゃんと赤外写真が撮れるかというと、ダメダメ。理由は様々と思いますが、まあ「シャッタースピード変えられない」とか「感度上がられない」、などという根本的な問題があるようです。

という風にさまよった挙句(一時期は諦めた)、結局Dimage7に戻ったわけですが、理由は「電源問題が解決した」からです。話は単純で「エネループ」使えばOK、というわけです。

色々調べると、Dimage7は電池の電圧が少しでも下がると動かなくなる。乾電池や従来の充電池だと、電圧がじょじょに下がる特性がありますが、エネループは「1,2V以上の電圧をキープし続ける」という特性があるらしく、そのため「短い時間しか稼動しない」という問題を「結果的」に解決した、というわけです。

確かに、フォーカスロックを頻繁に行うと、すぐにDimage7は電圧低下をモニター上に表示するのですが、その後すぐに復活します(他の電池だとその表示が出た時点でほぼアウト)。なので、今のところは「普通に」写真撮影が出来ます。ただ、撮影可能枚数は、今のデジカメと比べると、まあ少ないですね。百枚は不可能です。ボクの場合は、大量に撮影することはなく、せいぜい2〜30枚なので、この結果間に合っている可能性があります。

Dimage7を使ってみて、改めてその優位性(大げさだな)を感じました。

・RAW撮影が出来る → 10年以上前の機種ですがすごいですよね。

・ISO感度を800まで設定可能 → これがあることで赤外撮影が手持ちで可能になるのです。さらりと書きましたが、条件がそろえば「手持ち」で撮影可能ですよ。

・電子ファインダが90度動くのでバリアングルが可能 → 便利だ(笑)

・マニュアル撮影が可能 → なんちゃってではなく本格的に。そもそもコンセプトが一眼レフ代替機ですからねぇ。

・・・

補足情報ですが、赤外写真の特徴は「夜景効果」「雪景色効果」「非常なまでのコントラスト」「遠景が劇的にはっきり写る」等がありますが、実際に撮影すると、コントラストが弱く「ボー」としか写りません(でもピンとはあっている)。結局は、フォトショップ等のソフトで主にトーンカーブをいじって「作品化」する必要があります。

あと、最近の赤外写真のトレンドで「擬似ホワイトバランス」があります。ある程度可視光線もあわせて撮影し(撮影モードは『カラー』)、ソフト上でホワイトバランスをいじってありえないカラーを出す、というものです。まあボクは「モノクロ派」なので今一ピンときません・・・。

とまあ思いつくままに書いてみましたが、参考になったでしょうか。

これで撮る

Minolta DiMAGE7(エネループ使用)

富士フイルム IR76フィルタ(デファクトスタンダードはHoyaR72。ただし「円形フィルタ」の形では日本未発売)

Sessions

1st Session 2005年1月30日

2nd Session 2005年2月6日

※以降は改めて更新予定

微小潮流/Digital Infrared Photo「ここにしかあり得ない世界観」終わり

>ページの先頭へ戻る(z)